涙の女王
2024年 Queen of Tears

📅 公開日
2024年3月9日
🎬 監督
キム・ヘウォン, チャン・ヨンウ
⏱️ 全話数
全16話
🌏 製作国
韓国
👥 キャスト
キム・スヒョン, キム・ジウォン, パク・ソンフン, クァク・ドンヨン
今回は2024年の話題作『涙の女王』をレビューします。『星から来たあなた』のキム・スヒョンと『太陽の末裔』のキム・ジウォンが夫婦役で共演しているんですよ。タイトルを見た瞬間「あぁ、また泣かされるやつだな」と思いつつ観始めたんですが、意外なことに序盤はコメディタッチ!夫婦喧嘩が痛快で思わず笑ってしまう。でも安心してください、そのうち容赦なく感情を揺さぶってきますから。冷え切った夫婦関係に余命宣告というドラマの鉄板設定が入ってくるんですけど、これが想像以上に心に刺さるんです。最後まで一気見してしまいました。感情の起伏が激しい作品なので心の準備だけはしておいてくださいね。それでも「胸のつかえが取れた〜」という後味の良さがあるので、ぜひ最後まで見届けてほしい作品です。
⚠️ 注意:この先のレビューにはネタバレが含まれています。未見の方はご注意ください。ドラマの展開を知りたくない方は、ネタバレなしのレビューをご覧ください。
あらすじ | 冷え切った夫婦に訪れる運命の転機
物語は、結婚3年目のヒョヌ(キム・スヒョン)とヘイン(キム・ジウォン)から始まります。財閥の令嬢であるヘインが会社の重役で、夫のヒョヌはその部下。同居する義理の家族からのパワハラもあって、ヒョヌは家でも職場でも気苦労が絶えません。そんな二人は「もう離婚したほうが楽かも…」と感じるほど冷え切っていて、冒頭から「この夫婦、だいじょうぶ?」と思わずツッコミたくなる。
ところが、いざ離婚だというタイミングでヘインが”余命3カ月の脳腫瘍”を宣告されてしまうんです。ここから空気は一変。ヒョヌは「こんなに大切な人だったのに、自分は何をしてたんだ」と打ちのめされ、ヘインも死の恐怖の中で「本当はずっと寂しかった」と胸の内を吐露し始める。この急転直下の展開に、序盤のコメディを見ていた私も「あれ? いつの間にこんな泣ける雰囲気に…?」と驚きました。
演技分析 | キム・スヒョンとキム・ジウォンが魅せる感情の振り幅
私が特に心を掴まれたのは、ヒョヌを演じるキム・スヒョンの”涙”です。いつも穏やかなのに、ヘインが病に苦しみ始めると突如あふれ出す涙。その切ない表情に何度もグッときました。さらにヘイン役のキム・ジウォンは、財閥のお嬢様として毅然と振る舞いつつも、本当は脆くて孤独を抱えている女性像をしっとりと演じています。もともとキリッとした雰囲気のある女優さんですが、余命宣告を受けて怯えるシーンでは、そのイメージがガラッと変わり、儚さと強さが同居する不思議な魅力を放っていました。
二人の息がピッタリだからこそ、「なんでこんなにすれ違っちゃうの?」と悲しくなったり、「もっと早く素直になればいいのに…」とやきもきしたり。後半になってようやくお互いの大切さに気づいていく過程は、まさに王道の”泣かせ”なんだけど、主演二人の表現力のおかげで全く退屈しませんでした。
ストーリー分析 | 韓国ドラマの「波乱万丈」が効く理由
ストーリーの軸は「一度は離れかけた夫婦が、死の危機によって本当の愛に目覚める」というメロドラマの定番です。でも、そこに財閥の企業陰謀や誘拐事件、さらには記憶喪失まで入ってくるのがいかにも韓国ドラマっぽい。普通に考えたら「欲張りすぎじゃない?」と思うかもしれませんが、不思議と詰め込み感がイヤにならないんですよね。
というのも、どんな波乱が起きても「ヒョヌとヘインの関係はどうなるんだろう?」が常に気になり続けるから。結局そこにドラマの核があるわけで、波乱万丈でも軸がブレないので飽きないんです。愛を取り戻すまでにいくつものハードルを超える二人を見守っていると、いやがおうにも感情移入してしまい、最後には「こんなに泣かせるとかズルい…」という気持ちになる。
映像演出 | 都会と田舎の対比で描く心の風景
映像演出も巧みだなと思ったのは、都会の洗練されたデパートや豪邸のシーンと、田舎での素朴な風景のコントラスト。派手なライトに照らされた財閥の世界はどこか冷たくて息苦しいのに、田舎の自然光は温かくてホッとする。ヒョヌとヘインがそちらに移る頃には、観ている側も「やっと心休まる場所に来たね…」と感じるはず。そういう視覚的な対比が、このドラマの”都会のストレスVS田舎の癒やし”というテーマをより印象深くしている気がします。
音楽効果 | 感情を増幅させるサウンドトラック
そして泣きドラマに欠かせないのが音楽。ヘインが病を告白する場面でしっとりと流れ始めるピアノ曲や、クライマックスで二人が抱き合うシーンで盛り上がるバラードは、まさに涙腺を直撃。私はBGMに釣られて泣いてしまうことが多い人間なので、予想通りここでもしっかり涙さそわれました。逆にコミカルな場面では明るいポップが流れるなど、テンションの切り替えもうまくできている印象。音楽の振り幅がそのままドラマの振り幅、という感じですね。
総評 | 感情の振り子運動を楽しむ韓国ドラマの醍醐味
結局、このドラマは「笑い→涙→さらに号泣→また笑い」みたいな振り子運動を楽しむ作品なんだと思います。最初はただの夫婦コメディかと思いきや、いつの間にか深刻な病や陰謀が絡んできて、それでもまた笑わせてくれる。二人がくっついたり離れたりしてるうちに、こっちの感情もジェットコースター状態。
ただし、王道の韓国ドラマ的要素がこれでもかと押し寄せるので、リアリティを求める人には「ご都合主義すぎる…」と映るかもしれません。でも、個人的には「むしろこういうの待ってた!」という満足感が大きかった。そもそも”泣けるドラマ”を期待して観るわけですから、多少の強引さは華麗に受け入れて、徹底的に感情を揺さぶられる方が気持ちいいんですよね。
最終的には、タイトル通りしっかり泣けるラストが用意されています。しかも嫌な後味は残らない。「二人にはこういう未来があったんだな」って、観終わったあとにジーンと余韻に浸れるような終幕でした。途中で少し詰め込みすぎかなと思う箇所もありましたが、それすらも含めて勢い良く見せきるパワーがある。
結論 | 笑いと涙が欲しいときの最適な処方箋
「離婚しそうな夫婦の話なんてちょっと…」という人も、ぜひ騙されたと思って一度触れてみてください。序盤で笑って油断しているうちに、中盤から後半にかけて容赦なく泣かされるはず。主演の二人のケミも最高で、観終わる頃には「やっぱり愛っていいなあ…」と、しみじみ思わせてくれるドラマですよ。笑いと涙が欲しいときに、ぜひ手に取ってみてほしい一作です。
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